レビュー:『ジュラシック・ワールド/炎の王国』

『ジュラシック・パーク』『ジュラシック・ワールド』シリーズの最新作、『ジュラシック・ワールド/炎の王国』が7月13日より公開される。

© Universal Pictures

今回メガホンをとるのは、『永遠のこどもたち』(2007)『怪物はささやく』(2016)などで知られるスペイン出身のフアン・アントニオ・バヨナ監督。
恐竜パニックアドベンチャー映画として広く認識されているジュラシックシリーズには意外な登用かと思いきや、バヨナ監督の持ち味である心理的に追い詰められる恐怖心や情景描写などが効果的に描かれることで今までにない大人向けのジュラシックワールドに仕上がっている。ポジティブな意味において、今作は”ジュラシックシリーズらしさ”から少し離れたことにより、象徴的な一作となったのではないだろうか。

物語の序盤はジュラシック・ワールドを有するイスラ・ヌブラル島での火山の大噴火を舞台とし、そこでは誰もがイメージするであろう大自然・恐竜・人間のやり取りが発生する。ここでの展開はかなりスピーディーで、クライマックスのようなハラハラ感と感情に訴えかける印象的なワンシーンなどが次々に描写される。
むしろ物語はその島から恐竜たちが移送された先の、とある屋敷の中で真夜中に繰り広げられる。
屋敷内では恐竜たちが競売にかけられ、さらに人間の手によって交配された新種の恐竜が兵器として開発されていることが判明する。試作品であるにも関わらず我先にそれを買い付けようと声をあげるのは中国、ロシア…など風刺に満ちた表現が様々な箇所にみられる。
核心に触れるため細かに言及することは避けるが、とある一つのボタンを押すことにより物事が終息することと、終わりの始まりであることが表裏一体であること、そしてそれを誰が押すのかという一連の下りは次作へと続く重要なシーンであると同時に、これまでに人類が経験してきた争いに対する問いかけであるようにも受け取れる。

恐竜と人間の関係性については、はっきりとした問題提起はないものの、これもまた作中の様々な箇所で考えさせられる。それはおそらく動物や自然に対して人間がどれだけ介入していくのかという点や、科学技術のもたらす恩恵と弊害など答えを出すことの難しい永遠のテーマに対して登場人物たちが今後どのように対峙していくのか、次作での展開が気になるところだ。

恐竜たちはこれまでのシリーズとちがって、大自然の中ではなく屋内で暴れまわる。
それはさながら監督の得意とするモンスターや亡霊のように、暗闇のなかからいつ飛び出してくるのか分からないハラハラ感で観客を楽しませてくれる。
ここで気付かされるのは、恐竜は確かに、資料上実在したとされる生物ではあるものの、誰も実際に目にしたことのないいわば亡霊と同じ存在であるということだ。ある種それはファンタジー、SFのようなものであり、そう考えると今回バヨナ監督がジュラシックシリーズを成功させたことは必然だったのだ。

■『ジュラシック・ワールド/炎の王国』(原題:Jurassic World: Fallen Kingdom)
■公式HP:http://www.jurassicworld.jp/

■公開日:2018年7月13日
■上映時間:128分
■監督:J・A・バヨナ
■製作:フランク・マーシャル
  パトリック・クローリー
 ベレン・アティエンザ
■製作総指揮:スティーブン・スピルバーグ
■キャスト:クリス・プラット:オーウェン
ブライス・ダラス・ハワード:クレア
B・D・ウォン:ドクター・ヘンリー・ウー
ジェームズ・クロムウェル:ロックウッド
テッド・レビン:ウィートリー 他